シラスコンクリート

アトリエ天工人・山下保博さんの大臣認定取得した環境型シラスコンクリート住宅のオープンハウスに行ってきました。

環境型シラスコンクリートの開発を知ったのは、2013年5月のTED×Sakurajimaでの山下さんのTEDトークでした。ちょうど鹿児島でSHIRASUの現場が進行中だった私は現場監理にあわせて、鹿児島大学で開催されたTEDに参加していました。「素材の声を聴く」と題されたトークの中で、この環境型シラスコンクリートの開発について一般の方にも分かりやすく説明され、聴衆から多くの感動を集めていたのを思い出します。

それから2年の実験・認定取得を経て、日本で始めてのシラスコンクリートによる住宅ができたというのです。実際に見るシラスコンクリートは、緻密でなめらかな表情をしていました。DSC_1593

DSC_1632

置かれた試験体を触るとやさしい肌触りで、普通コンクリートと比べ軽い。
(※写真左がシラスコンクリート)DSC_1645

シラスの微粒子を生かして高流動なコンクリートであるため、斜めに切り取られた開口部のコンクリートは、まさに切り取ったようにエッジが利いている。これは開口部とスラブとの隙間のような小さな開口部に象徴されている。DSC_1654

DSC_1641

コンクリートで内外を包み込んで欲しい、という施主の意向があったというが、そのため断熱材はなく、シラスコンクリートが仕上げとなっている。温熱環境を整えるために環境エンジニアの山田浩幸氏との共同で、4層吹き抜けの階段室の煙突効果を利用した上下階の熱を循環させるシステムは大変興味深かった。DSC_1621

アトリエ・天工人の3つの方法論の中の1つの「クライアントと共に創るアプローチ」の重要さについて、山下さんともお話させていただく中で、建築家として自律した立場から設計をするのではなく、改めて私も共に創る方法を意識的に設計しなければいけないと思いました。

今後の山下さんのシラスコンクリートの展開が楽しみです。


「九州建築選2014」掲載 JIA特別賞の選評

「SHIRASU」が2014年度 第8回「建築九州賞(作品賞)」 JIA特別賞受賞により、本賞記録誌「九州建築選2014」に掲載いただきました。選評をいただきましたので、ここに掲載させていただきます。ぜひご一読ください。
なお、本誌は九州地方の県市町村(建築関係部署)、公立図書館、学校(建築系学科)等、約650箇所に寄贈されるようです。

選評

中空層を有するシラスブロック二重壁によって建物全体に高い蓄冷・調湿性能が得られていて環境負荷低減効果を高めており、鹿児島にもかかわらず、実際にクライアントはエアコンのない生活を営んでいる。シラスブロックは外壁用と内壁用で製造方法を変えており、特に内壁用はシラス原石を埋め込んで固めてからブロック形状に切断しているため原石の断面が象嵌状に現れ、豊かな表情を示している。
これらを含めシラスブロックの使用は、素材の選定から実現まで実験的な試みがなされており、その高度な技術力が評価でき、地元素材の新たな活用法の提案の観点からも評価できる。また、壁を傾斜させることで「シラス台地」の形態イメージが建物外観に反映され、内観においては立体的な壁面が特徴となっており、高台の住宅地という立地・環境を生かして通風採光を有効に取り込む建築計画と外観・内観の表情が有機的に結びつき、独特な建築となっている点で評価できる。クライアントの満足度も非常に高く、地域の建築への独自の視点や新しい技術の提案に富み、本賞にふさわしい優れた作品といえる。

審査経過詳細はこちら→


敷地から、そして地域から感じ取れること。

今日はお施主様と新築住宅のための川崎の土地を見に行ってきました。

敷地をはじめて訪れるときには敷地形状、道路、隣接する建物との関係を調査することも大事ですが、それ以上に私は境界線を越えた地域環境の中で、その土地の生い立ちやポジショニング(地域環境の全体の関係で、建ち位置を定めること。)までを読み取っていくべきだと考えています。

丘陵地で周囲から一番高い丘の上にある敷地で、日当たりがよく2階からは周囲の街並みが見渡せそうな好立地でした。樹林や農地などの自然環境が残されている地域で、敷地の隣には、10m以上の杉並木や生産緑地の梅園があり、小鳥のさえずりが聞こえてきます。東京郊外でも比較的敷地にゆとりもあり、環境に開いた大らかな建ち方ができそうな予感です。

 


アートとフレンチ!~竹橋のラー・エ・ミクニ (L’art et Mikuni) 

今日は、竹橋のラー・エ・ミクニ (L’art et Mikuni)に行ってきました。
東京国立近代美術館に隣接した三國清三氏プロデュースのフレンチレストランです。「芸術と料理」をテーマにフレンチのアート。美術館が休館だった今日は、レストランのお客さんのみでゆったり食事を楽しんできました。

皇居と美術館の間に立ち、両側が全面ガラス張りとなっているため、夜には照明が反射を繰り返し、インテリアが皇居まで伸び広がっていくような印象に見えるのは綺麗でした。皇居を望むテラス形式の店内からは、あと2週間後には桜が見渡せるでしょう。その頃は大変な人気だそうです。

美術を鑑賞した後、桜を見ながらカフェでゆったりくつろぐ時間もいいですね。

DSC_1388

DSC_1391

DSC_1396
DSC_1411

DSC_1413
DSC_1438


第13回環境設備デザイン賞 第一次公開審査

今日の午後は、一般社団法人建築設備綜合協会主催の第13回環境設備デザイン賞の公開審査会のため三田にある建築会館へ行ってきました。
私は3部門ある中の環境デザイン部門にSHIRASUを応募しました。今年は全応募50件、環境デザイン部門には14件の応募があり、大手ゼネコンの設計部の作品が大半を占め、大変な強豪揃いの中、公開で投票がされる様子をヒヤヒヤしながら見ていました。

環境設備デザイン賞

最後の選考段階で審査員の山下保博さんが鹿児島の住宅「SHIRASU」を推してくださり、古谷誠章さんも同感してくださったおかげもあって、6作品の中に選ばれ4月の二次審査へ進むことができました。
二次審査のプレゼン発表では、特に今日最初に票が入らなかった先生方が疑問に思われているだろう点の本意が伝わるようアピールしていきたいと思っています。


難波和彦さんの箱の家へ

難波和彦先生の箱の家152のオープンハウスへ横浜は上大岡まで行ってきました。
標準化・多様化・サステナビリティ(持続可能性) をコンセプトに都市型住宅のプロトタイプを追求し続ける著名な建築家です。私が最も敬愛する建築家のひとりであり、私には最も似つかわしくない作風の方でもあります。だからこそ一度は見ておきたい建築だったので、今日はとてもいい機会でした。

そして、実際に難波先生にご説明いただき大変光栄でした。この箱の家は、斜面の5叉路に面した変形敷地に立つ住宅でした。「箱」は、何もない空間が分化した初源的な場所のイメージだとする難波さんにとって、この家では2階の各個室はお施主様の要望により、閉じざるを得なかったとのこと。なぜ難波先生が閉じるのを嫌うかと言えば、1室空間を目指す箱の家では、家全体の1室の中で環境エネルギーが循環し成立するように設計されているからでしょう。そのためには床暖房とトップライトの換気窓、屋根裏換気は必須な要素だとのこと。実際に過去の箱の家で、トップライトの換気性能や風の流れをシュミレーションして、想像以上の効果があることが分かったそうです。これで冬でも床暖房のみで暖房器具を使用せず、暖かい温熱環境をつくることができるんですね。

実は難波先生には昨年夏のグッドデザイン賞の最終審査で面接いただきました。
覚えていてくださり、サステナビリティは私にとっても大きなテーマですので、ここでは私のSHIRASUと比較して難波先生のご意見をお聞きすることができましいた。グッドデザインの話にもなり、私のSHIRASUが建築部門ではベスト100に推薦いただいていたことを教えてくだり、「私はすっかり難波先生に落とされたとばかり思っていました!(笑)」と驚きでした。冒頭にもあるように私にとって最も似つかわしくない作風の難波先生には、評価は得られないとばかり思っていたからです。その難波先生に推薦いただいていたとは、とても嬉しいことでした。

DSC_1351

DSC_1329
DSC_1331
DSC_1318

DSC_1316

DSC_1340

DSC_1342


住宅も「地域の資産」

今日午前中に建築研究所すまいづくり表彰 地域住宅賞の表彰式のため、銀座朝日ホールへ行ってきました。

DSC_1312

東京大学名誉教授の渡邉定夫先生(日本でアーバンデザインの指導及び実践、人材育成を担った都市計画家)から審査講評がありました。応募作品の中でも例年に比べ、既存を再利用した保存・再生の住宅・施設が多くなっているとのことでした。
縮小の時代を向かえ、地域郊外が空洞化していきつつある中で、地域のすまいづくりの意義も変わりつつあります。私はこうしたこれからの状況では、住宅も個人の資産であることを超えて「地域の資産」にもなっていく建築の在り方が求められると考えています。

地域住宅賞
頂いた賞状には個別に評価のコトバがあり、「地域の模範」とご評価いただき、嬉しい限りです。この賞状は富山の手漉き和紙職人の方によるもので、風合い深いものです。お施主様にお渡ししたいと思います。

※この賞を主催する独立行政法人建築研究所とは、国土交通大臣から示された中期目標に基づき、公正・中立の立場で、所内の高度な実験施設を活用し、住宅・建築・都市計画技術に関する研究開発、地震工学に関する研修等を総合的に、組織的、継続的に実施する機関です。


鹿児島の住宅「SHIRASU」の動画

鹿児島の住宅「SHIRASU」の動画をUPしました!
昨年の住まいの環境デザインアワードでグランプリ作品として、主催の東京ガスにより現地撮影いただいた映像です。シンポジウムではお施主さまへのインタビューを中心に会場で流されました。ご家族揃っていろんな質問に答えてくださいました。プライバシー保護のためそのインタビュー映像部分はカットしていますが、そのうち、この住宅の特徴を示す質問への回答を1つご紹介させていただきます。

中学生の娘さんへの質問です。
Q.夏を過ごしてみてどうでしたか?
A. お父さんがクーラーはいらないというのが最初はすごい嫌だと思っていました。
前の家でもクーラーがなく、すごい厚かったんです。
だけど、心配してたのがすぐに無くなって、すごいクーラーのようにヒンヤリしていてびっくりしました。

これはシラスブロック積みの中空層二重壁が、内部への熱負荷を大きく低減してくれているためです。写真では分からない周辺環境と佇まい、素材の表情を感じていただけます。
どうぞご覧ください。