「シンプルなかたち展」 美しい=合理的の先に

 森美術館で開催の「シンプルなかたち展」に行ってきました。

古くは先史時代の石器から、現代アーティストによるダイナミックで先鋭的なインスタレーションまで、古今東西の「シンプルなかたち」約130点を9つのセクションで構成されています。

私は、以前から好きであったオラファー・エリアソンやのルチオ・フォンタナの作品を実際に見ることができて感動です。

名称未設定 1ルチオ・フォンタナ 《空間概念》1962年

名称未設定2オラファー・エリアソン 《丸い虹》2005年

DSC_1907大巻伸嗣 《リミナル・エアー スペース―タイム》2015

大巻伸嗣の空気の流れをかたちにしたような作品は、背景の街並みにも消えていくようでとても印象的でした。

DSC_1908中でも驚いたのは、↑このル・コルビュジェが浜辺で拾った石のコレクションです。絵画を創作の一部にあったコルビュジェは、絵画のモチーフとして石や貝殻を集めていたんですね。
スケッチを繰り返し、線をシンプルに整理していくうちに、そのモチーフからまた別のカタチを浮かび上がらせていました。


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picasso bull

その姿勢は、親交のあったピカソの水牛のスケッチ「picasso bull」(同じく展示されています)にも大きな影響を受けていたのでしょう。形の幾何学的図形としての構造は、自然の中に前もって存在し、そこに普遍的な美を描き出そうとしています。

モダニズムは「美しい=合理的」の発見であったとも言えるでしょう。
合理的の前提の下に、美しいを定義しようとしていました。
美しいと感じるその対象のどこに「合理的」が隠されているかを見出そうとしています。
近代に生きる上で真の豊かさとは、合理的で機能的であることだったからでしょう。

では、その成熟を経た私たちの時代に生きる上で真の豊かさとは、何か?
ここに並ぶオブジェは、「美しい=合理的」の先に現在の私たちはどこに美しいを感じるのか。
改めて私たちに問いかけてきます。

 


「藤本壮介展 未来の未来」

乃木坂にあるTOTOギャラリー・間で開催の「藤本壮介展 未来の未来」を見に行ってきました。

藤本さんは、2000年の応募総数393という注目の「青森県立美術館」コンペで2等に入り、鮮烈的なデビューで建築界に広く知られる存在となられました。
当時大学院生になったばかりの私は、そんな藤本さんにお会いしたく直接アポを取り事務所まで伺ったことを鮮明に覚えています。まだ、事務所にはスタッフはおらず、藤本さんは私のポートフォリオをゆっくり見ていただきました。学部生のときに私がル・コルビュジェのトレースをしていたことを話すと藤本さんも事務所に飾ってあった自身のコルビュジェのトレースを指して、コルビュジェについていろんな話をしていただいたことがありました。
「大学生時代、ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエといった偉大な建築家の作品は、僕に建築の喜びと大きなインスピレーションを与えてくれました。」(展覧会HPより)と言うようにその想いは今の仕事に続いているようだ。

それから15年、今や日本を代表する建築家のひとりとなった藤本さん。
これまでに手掛けたプロジェクトや進行中のプロジェクトから、100あまりの模型が展示されています。

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「建築とは、作られるより前に、見いだされるものではないだろうか?」と言うように
建築のもっとも本質的な問い掛けをすべてのプロジェクトで繰り返すように、
実現したプロジェクト模型だけでなく、その源泉を探り出すような模型が並ぶ。

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「未来の未来」という展覧会のタイトル通り、これらの未来への投げかけが新しい未来をつくり出す期待に駆られる。

藤本さんのこの姿勢は、経験重視のイノベーションというより、破壊的なイノベーションとも言えるのではないかと私には映った。経験重視のイノベーションでは、振る舞い、アクティビティ、動機、ニーズ(機能)などへと視点が置かれる。そのためコンテクストの緻密な観察が行われ、新しい気付きを生む。

一方、破壊的なイノベーションは、かつての真実に挑むように、その周到な理解のもと、未来の可能性へと再構成しようとする。私たち多くは最初に広く行われている慣習を疑うが、課題自体を疑うように違う観点から新しい問題を用意し、自ら回答しているようにも思える。こうした問題を再構成するマインドセットこそが、まだ見ぬ未来への解決策に到達し、藤本さんの未来の建築を生み出しているのではなかろうか?

ただ、ひとつ気になるのは、この破壊的なイノベーションにどう時間という軸がどのように入ってくるのかということ。経験重視のイノベーションでは、私たちの生きる現実の環境のもと、おのずと時間軸の中に判断が置かれている。例えば、上の世代の内藤廣さんの「素形」に現れる時間と、藤本さんの「原型」に現れる時間では、違いがあるはずだ。
破壊的なイノベーションを20世紀に果たしたコルビュジェは、晩年には時間の軸が入り、作風が変わっていったが、藤本さんはこれからこの時間という問題に対して、破壊的な見地からどう踏み込んでいかれるかが、私の関心のひとつでもある。


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2015年日本建築学会作品選集新人賞 受賞

鹿児島の住宅 「SHIRASU」が、2015年日本建築学会作品選集新人賞を受賞しました。

日本建築学会作品選集新人賞は、日本建築学会の若手会員の作品発表を奨励することを目的に2013年に設置されました。日本建築学会が毎年発行する「作品選集」掲載作品を手掛けた設計者のうち、40歳未満の筆頭設計者が対象となります。

SHIRASUは、選評の中でシラス台地の住宅地でシラスという地下資源に着目した点、シラスブロックという新たな製品開発に取り組んだ点、シラスの断熱性・調湿性を発揮するための中空層二重壁の採用など、「環境や地域性といった現代的なテーマに真摯に向き合い、実現された住宅作品」として高く評価されました。

動画も掲載されていますので、ぜひご覧ください。

 

SHIRASU選評

  • 本記事に関連するURL 

日本建築学会 2015年作品選集新人賞  

 


小さい頃の夢をカタチに

今日、事務所にはとってもカワイイお客さんが来てくださいました!
小学校の同級生でもある友人の今年小学生になったばかりの小学1年生の男の子です。
将来の夢がプロサッカー選手か建築家ということで、友人の建築家である私に声を掛けてくださいました。事前に用意してくれていた13個もの質問をインタビューしてくれて、「記録ノート」と書かれたノートに一生懸命記録してくれました。

・なんで建築家になったんですか?
・建築家はどういう仕事をするんですか?
・どうやって建築家になったんですか?

そして、こんな質問まで!
・小さいころは何して遊びましたか?
・これからどんな仕事をしていきたいですか?

さすが幼稚園のころから、自分で考える教育をされているだけあります。
小学1年生とは思えない発想力とアンテナの高さに驚きました。
事務所の模型には興味津々で「この家すごーい!」とお褒めのコトバをいただきました。
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そしてインタビューのあとは、男の子に自分が好きな家のデザインを自由にスケッチしてもらい、彼の指示のもと(笑)、私が模型の材料を切り出し、お父さんと一緒に一生懸命組み立ててくれました。
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「いい家ができたー!」と喜んでくれて、私も小さいころを思い出すようでとっても楽しかったです。この家の模型を家に持ち買って、色づけして、家の名前と建築家の名前を書いたら写真に撮って送ってくれると言うので、またどんな家になるか楽しみです。

このお子さんの想像が一層膨らんでいってくれたら嬉しいです。
小さい頃の想像って大事にしたいですね。


第13回環境・設備デザイン賞 入賞

第13回環境・設備デザイン賞の第二次公開審査が本日三田の建築会館で行われました。鹿児島の住宅「SHIRASU」が入賞を受賞しました。著名な審査員の先生方に様々な視点からご批評いただきました。

このような賞の場で発表し審査を受けることで、自分の視点にはなかった批評を受け、また次へのヒントや自身の建築家としての在り方を後押しいただいたり、自省させられたりと大変価値のある機会をいただいています。これはスタッフとして担当作が多くの賞を受賞したときには、感じていなかったことです。この経験をまた次の仕事への姿勢に活かしていきたいです。

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この環境・設備デザイン賞(一般社団法人 建築設備綜合協会)は、建築設備分野においての審美性などの感性の要素に焦点をあて、機能性、経済性と環境問題も視野に入れた社会性を加え、総合的かつ客観的な評価を行っている賞です。

 


川崎の住宅 「環境をまとう」

今日は、川崎の住宅のファーストプレゼンでした。
はじめてのお客様に最初に提案するときは、ワクワクするのと同時に気に入っていただけるかドキドキします。

「環境をまとう」をコンセプトに石をファブリックのように編み込むようにして積んだ外装を目指します。その凹凸のヒダに自然や周囲の環境が絡み合い、内部に環境を引き込みます。
石のイメージを一層する新しい機能を生み出します。川崎の残された緑の環境資源を活かし、東京郊外では稀な自然との関係を拡張する住宅です。

幸いにお客様にもコンセプトにも共感いただき、気に入っていただけました。
これから基本設計に入っていきます。
その様子などもブログでお伝えできればと思っています。