第16回JIA環境建築賞の最終公開審査

先日28(土)に第16回JIA環境建築賞の最終公開審査が建築家会館で行われました。

鹿児島の住宅・SHIRASUも住宅部門の5作品に残り、発表させていただきました。
結果は入賞でしたが、審査員の先生方からの批評をいただき、他の方々の発表を聞き大変勉強させていただきました。公開審査というのは、質疑から審査過程が間近で見れてドキドキですが、改めて冷静になって自分の建築を見つめ直すいい機会になります。審査員の先生方、現地審査に鹿児島までお越しいただいた先生方、そして審査にご協力いただいたお施主様に改めて感謝です。

以下に審査に提出したSHIRASUのエネルギー資料と温湿度データの一部をご覧いただけます。151128 SHIRASU_ARAY_ページ_20

竣工後の2014年の一次エネルギー消費量は50GJ/年、床面積あたりの一次エネルギー消費量は0.36GJ/㎡・年、と九州地域の平均値よりも7割低減されています。またエネルギーコストは約22万円/年と九州地域の平均値とほぼ同程度となっています。これは電気・水道のエネルギーコストは同地域の平均値より7割低減されていますが、初めて利用した冬季の床暖房によるガス使用量が大きく増してしまったため、全体のエネルギーコストは平均値となっています。

151128 SHIRASU_ARAY_ページ_19今年の夏の最高気温となった8月7日の一日の温度データです。
今年一番の真夏日でも外部の一日の温度差が、6.7℃に対し、中空層の一日の温度差が、1.2℃、内部の一日の温度差が3.2℃と温度差の変化が少なく安定しています。

151128 SHIRASU_ARAY_ページ_18そして同日の湿度データです。
外部の一日の湿度差が、24%に対し、中空層の一日の湿度差が3.2%、内部の一日の湿度差が6%と同様に湿度の変化も少なく安定しています。

実際に生活させれている中での温湿度データのため、窓の開閉があり密閉状態のデータではありませんが、シラスブロックの二重壁の放射熱が低く、温湿度変化が少なく安定しているため、室内はエアコンで必要以上に温度を低くしなくても快適さが保たれています。


八戸をリトル・トウキョウにはしない!

昨日は八戸市長にお会いする機会に恵まれた。
渋谷ヒカリエで開催の「まちてん|地方創生まちづくりEXPO 」のトークセッションに登壇されるために東京にお越しになっていらっしゃいました。

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小林市長は、空洞化が進む八戸市中心市街地を活性化するため、市民や観光客の拠点となるような文化交流施設『はっち』を創りだした方です。これまで行政が求めてしまうこの地域の利用者を考えない人間味のないハコモノ建築に代わり、地域の活動を創造する「交流の場」となっているようです。小林市長は、「八戸をリトル・トウキョウにはしない!」と強く仰っていました。
国が昨年から地方創生を挙げ、地方を元気にしようという成長戦略にこそ地方の豊かさがあるとして、そのシナリオに乗せるように各地方行政を競争させようとする現状に問題を提起していました。外部から別のシナリオを落とし込み、大手企業を誘致しても、街は元気になんかならないと。現実にはその競争に乗れない地域はどんどん取り残されていく現状があります。

地方創生まちづくりには、何かイベント的な(=非日常的な)クリエイティブよりも、
地域の日常的な仕組みこそが求められていると感じました。


前橋の住宅「T house」藤本壮介

10年前に藤本壮介さんが最初に設計した前橋の住宅「T house」が
限定公開されているというので拝見しに行ってきました。

4人家族のための木造平屋の住宅。
個人住宅ですのですっかりもう住まわれていないため、公開されているのかと思っていましたが、お施主さんが実際に現在も住みながら、定期的に公開されているとのことで驚きました。
家の中心に向かって1枚合板の薄い仕切りがヒダのように集まり、それぞれの居場所が隠れるようにして在って、同時に全ての場の気配を感じることができるワンルームの家です。歩いて行く一歩一歩に違ったシーンが展開します。まるでサンゴ礁の無数のヒダに魚が見え隠れしながら戯れる様を見ているようです。

藤本さんは「この住宅での体験や気づきは、未だに自分が建築を設計するときの根っこになっている。」とどこかで仰っているのを見ましたが、生物の様態を生み出すような建築であり、それは今の藤本さんの建築にも根付いているように感じました。

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上州富岡駅

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今日は世界遺産に登録された富岡製糸場の玄関口として昨年竣工した上州富岡駅(設計:TNA)を見に行ってきました。

富岡製糸工場の「木骨煉瓦造」から、また現代につながる「鉄骨煉瓦積造」という新しい構造により鉄骨の大屋根を支える駅舎というより、ただ大屋根の下の街の広場とも言えるようなおおらかな半外部空間が実現されていました。鉄骨の座屈を抑える煉瓦壁の足元はベンチにもなり、点在するコンコース、駅務室、待合室、観光情報コーナー等の滞在の場が提供されています。公共空間としての駅舎がこの街の小さな雰囲気がそのまま切り離されることなく、まるで家の縁側や公園のベンチに座るように思い思いに時間を過ごしている街の人の風景がありました。

世界遺産の街としてイメージに傾斜したような駅舎ではなく、地方の私鉄駅としてその街の人々にとっての規模や需要に合った交流の場としての新しい公共空間の在り方を提示されているように感じました。

DSC_3961鉄骨を煉瓦で完全に隠すべきかどうか議論になったようだ

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DSC_3953日陰が居場所をつくる

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DSC_3942目地は建築家の指定で奥目地になったそうだが、その理由を聞いてみたい

DSC_3955煉瓦にテンションをかける臥梁のStPLが目地に隠れて入っているのが分かる

DSC_4032ベンチで待ち時間を過ごす高校生たち

DSC_3948木漏れ日が落ちる様子は公園のようなおおらかさを感じさせてくれる

DSC_4009埋設された照明

DSC_3975駅から公園へ連続していく

DSC_3993街から見ると大屋根の存在は薄れて、街並みや山並みに溶け込んで見える。現場の施工中には煉瓦が積まれる前のこの大屋根だけがあり、存在感がとても強かったため、この風景を想定した計画だったことには驚いた。

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DSC_3936改札と待合いから駅前広場を見る。まるで住宅の建具を開放しただけの縁側のようにも見えてくる。

DSC_4047コンコースから駅の煉瓦壁の向こうに富岡製糸場への道が続いて見える

DSC_3929コンコースから改札まではスロープでつながり、階段通路などはない


第16回JIA環境建築賞公開審査会

日本建築家協会が主催する環境建築賞の最終公開審査でSHIRASUの発表をさせていただくことになりました。ご興味ある方はぜひお越しいただければ幸いです。

日時:2015年11月28日(土)12:30~17:17
場所:建築家会館1階大ホール(東京都渋谷区神宮前2-3-16)
案内:http://www.jia.or.jp/resources/events/000/275/0000275/file/eNYqjh22.pdf

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