年末のご挨拶

今年は発見→発信→発芽を意識して活動してまいりました。
今年から始めたこのブログも発信のひとつです。
皆様に一年ブログをご覧いただきありがとうございました。
来年は発見をより意識して、新しい建築を目指してまいります。

また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
来るべき新しい年が皆様にとって佳き年となりますように。

 


桜島の名前の由来?

先週末の土日は、クライアントとの基本設計打合せのため鹿児島へ。
鹿児島空港へ着陸態勢に入ると、冬の快晴の空は澄んで桜島が綺麗に見えてきました。

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敷地に現段階でのプランを縄張りしておき、クライアントをご案内しました。こうすることで図面や模型だけでは分かかりにくい広さ・方位・眺望を実感いただけました。

打合せ中にクライアントが、ふと「鈴木さんは本当に建築が好きなんですね!」と仰ってくださいました。計画をご説明する様子から、私の想いに共感いただき嬉しい限りでした。これは決して私の想いだけから生まれるものではなく、クライアントの建築への想いがあってこそ、強く明確になっていくものでもあります。

さて、“桜島”という美しい名前の由来には、3つの説があるそうです。
1つは日本神話の神“木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)”を祀った神社が島内にあり、“サクヤ”が“サクラ”に変化したという説。
2つ目は、10世紀に大隅守を勤めた“桜島忠信”に由来するという説。
そして、3つ目は大噴火とともに島ができた時に海面いっぱいに桜の花が浮かんでいたから、という説です。

この敷地からは桜島と錦江湾が一望できます。
この夕日に映えピンク色になった桜島から、その名前の由来になったのではないかと思わせるほどの美しさでした。


組積造と鉄骨造のハイブリッド

素材の弱点を補完し合うような構造システムに関心があります。

そこで先週、栃木のちょっ蔵広場へちょっくらお出かけ(笑)
実際は遠くてちょっくらどころではありませんでしたが、、、(汗)

ちょっ蔵広場ば大谷石の組積と鉄骨造によるハイブリッドな構造です。
菱型に透かした半透明な石の壁をつくるために考案された構造システムです。
組積の最大の弱点は、面外方向への横力に対する脆性破壊になります。
その弱点を補強するためにジグザグ形の鉄骨フラットバーのをカゴのように組み合わせた鉄骨造をつくり、そこに大谷石を積んでいます。さらに、大谷石の圧縮力に鉄骨フラットバー座屈を抑える機能を持たせています。

この構造システムも参考にしつつ、今計画中のプロジェクトに適正なまた別の組積構造を検討しています。

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住所:栃木県塩谷郡高根沢町大字宝積寺2374-1
竣工:2006.03
用途:集会場、展示場


現在計画中のプロジェクト4点

HPの作品ページに現在計画中のプロジェクト4点を掲載しました。
現在は基本設計段階です。
現場が始まりましたら、またその施工過程をブログに随時UPしていきます!

-川崎の住宅
流れ造りの大屋根が架かったアウトサイドリビングの家

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-目黒平町の住宅
都心の中のスローリビングの家

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-環境共生型アパートメント
光と風の塔をもつ環境共生型の新しい賃貸アパートメント

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-タオス・カゴシマ
桜島と街の風景を目前にした集落のような家

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石の触覚的な可能性~「石の美術館」を通して

米を貯蔵していた80年前の古い3棟の石造の蔵を再利用して、芦野石(安山岩)という地元の石を素材にした展示空間として再生されています。隈さんは「組積造を使って曖味で軽やかな空間ができないかという挑戦をしてみました。」と言われるように、芦野石を50mm×120mmに薄く切って、鉄骨を抱かせた石の柱に切り込みを入れ、石のルーバーをつくっています。その石のルーバーから光や風が抜け、保存された石蔵が向こうに見通せます。

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また別の壁では、分厚い壁厚の無筋の組積造が透かし積みで穴を多く開けることで軽やかな印象になっています。石の目地の取り方も縦は石を突き付け、横目地のみの目地とすることで、目地によって石単体が強調されるのを避け、全体から見ると石のルーバーと同様に石の水平ボーダーが、石の軽やかさを引き立てるように軽やかなディテールが施されています。

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さらには、一部の壁には光が透ける薄い大理石(ビアンコカラーラ)をはめ込んで、室内がその石を透かした光で満たされるような状態にしています。

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これらのディテールは、とても重たい石という素材の印象を視覚的に軽やかな印象に変えることで、石という素材の新しい可能性が実現されています。また、3つの石蔵の中間スペースを新たな展示空間の増築や緑を植えた大地にするのではなく、水盤を張り、揺れる水面に石蔵を映し出そうとしたのも、この軽やかな印象をつくり出すための視覚的効果を狙ったことでしょう。
水盤を歩き回る秀逸な展示ルートの構成は、シークエンスの流れの中での建築体験を重視してのことのようです。
しかし、私が感じたのは各石蔵の展示空間が、冬でもとても寒いということ。実際に芦野石を触るととても冷たい。本来の石藏は、温度・湿度の変化が少ないことが、米倉としての機能を担っていたはずです。地元の芦野石を扱う石材会社の依頼による石の美術館であったため、残っていた石藏と同じ軽石凝灰岩の大谷石ではなく、芦野石はおのずと素材になったことだと思います。

調べると芦野石の熱伝導率は、1.5kcal/m・h・℃で、ほぼコンクリートと同等の値となっています。これに対して、シラスは0.3kcal/m・h・℃と木材とほぼ同等の値で、芦野石やコンクリートの約1/5です。表にある他の石と比べてもシラスが断熱性能のとても高い石だということが分かります。

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視覚的に石という素材の可能性を追求された石の美術館に対して、私は、触覚的に、体感的に石という素材の可能性を追求したいと思っています。石の美術館は、文字通り美術館という機能があってのことですので、石を体で感じる必要には迫られません。しかし、住宅では視覚的にだけでなく、体感的にも快適な環境をつくる必要があります。そのため石という一般に熱伝導の高い石を住宅などの快適温度を保つ必要のある用途では使用しにくくなります。上の比較でも分かるように、シラスは他の石にはない高い断熱性能をもつため、石を温熱環境を調整する素材として利用が可能です。そこにこれまでにはない石という素材の新しい可能性や、素材を通した環境づくりの可能性があるのではないかと考え、研究と実践を続けています。


DSC_4262分厚い組積壁からのぞく

DSC_4154芦野石のドアノブは印象は素敵だが、冬はとても冷たく触れたくなくなる

DSC_4276同じ石でも高温で焼くと色が変わるのは面白い

石の美術館保存利用されている大谷石の石藏は比較的寒さは感じない