文京区立森鴎外記念館 ~歴史的な継続性~

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昨日は駒込にある陶器二三雄氏設計の文京区立森鴎外記念館を見学に行ってきました。

現代建築に煉瓦の新しい表現を持ち込んだという静かな佇まいの建築でした。

淡いグレーの煉瓦は施工後に職人たちが大変な労力を掛けて、目地と一緒にサンダーで削りだし、煉瓦の内部の色や窯変を浮き立たせたそうです。

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「硬質感と柔らかさの両面性をもったヒューマンな質感」と説明されていますが、建物の緊張感あるプロポーションのせいか、私にはその柔らかさはあまり感じられませんでした。むしろサンダー掛け前の粗い表情の方が柔らかさがあったのではないかとその表情を知りたくなりました。

陶器さんはこの煉瓦の扱いについて、「ぼくは、建築に質感、マテリアルはあるのだけど、質量はないという考えなんです。要するに、重さを感じさせないようなマテリアルの使い方をしたいと思っているんです。」と仰っていて、これは大変興味深いです。

私はむしろ素材の質量は与えたい、重さを感じさせたいと思っています。素材は空間構成の手法や表現に替えてしまう操作はせずに、素材そのものが持つ化学的な性能を発揮させるような建築を目指していいます。その上で建築に現代的な軽やかを与えたいと思っているので、この逆の発想には大変新鮮に感じました。

ただ、素材やその扱いに歴史的な継続性を意識されているのは、私も同じです。
「建築というものは感性の部分でもあるんだけど、一番のポイントになるのは、歴史的な継続性。だから現代建築においても、僕自身はヨーロッパのギリシャからの大きな山脈のなかで、いかに建築をつくっていくか、そういう山脈を意識しながら、つくっていけるかどうかということですね。」というお話には大変共感させられます。
私も鹿児島でのシラスの扱いには、常にこの歴史的、環境的、文化的継続性をどう掘り起こし、顕在化できるかを意識しながら、検討を続けています。

昨今は、建築の精度や深度、美学的なものに対する関心が薄れつつあるなか、
このような古典的な建築から連綿とつづく建築の価値を発展させていくような姿勢を私も大事にしていきたいです。

そのためには普段から射程を遠くに意識して建築を考え続けていかなければなりません。プロジェクトごとに目の前の問題を解決するだけの手法の出し合いではなく、普段からの研究の積み重ねが必要だと感じさせられた建築と陶器さんの言葉でした。

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