石神井アパートメント SANAA

先週の土曜、練馬区立牧野記念庭園を見た後、石神井公園近くの石神井アパートメント(2011)にも立ち寄りました。

住宅街の中に建つ8戸からなる長屋形式の集合住宅。各棟の屋根やスラブをグリットから水平、垂直にずらして配置していくことで、 外と内が複雑に混ざり合っている。各戸に設けられた屋外テラス・庭・駐車場が住戸間の隙間として機能し、集合することによって偏りがちな採光と通風が均一に獲得されています。各戸が独立して集合しているため、近隣への圧迫感もなく、日照も遮られていません。

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ただ、鉄骨に外装は概ねアルミサッシのガラスで構成されているため、様々な批判が多いようです。

・プライバシーがなくブラインドを下ろさなければいけない。
・ガラスによる熱環境の問題がある。
・住宅地で家族が住む空間としてはどうか。
など。

これらの問題はあるかもしれないが、実際に見に行いくとこの周辺地域の住環境に馴染んでいて唐突な印象はありませんでした。私はこの日、大泉学園から牧野記念庭園を経由して長く歩いて、この敷地まで辿り着きました。「東京のよくある高密度な低層住宅地」とは一概に言えない「石神井の高密度な低層住宅地」として他のエリアとは違う雰囲気を感じました。

・都内の住宅としては敷地が広く、庭を持つ家が多い。
・ただ、東西に敷地いっぱいに建てられ隣棟間隔が狭く、わずかな隙間を介して並んでいる。
・宅地整理された郊外の住宅地ではないため、その隙間が多くの路地を生んでいる。

石神井アパートメント

石神井アパートメント

航空写真で見ても分かるように戸建て住宅が占める街に、60㎡程度の2LDK・8戸が大スケールを構成せず、街のスケールをより小さく分解するように配置されています。都内の住宅地にも見え隠れするこの街並み(集合)を顕在化しつつ、ここでの新たな集合の在り方を提示されています。

石神井アパートメント


練馬区立牧野記念庭園

西武池袋線、大泉学園駅から徒歩5分程度の閑静な住宅地にある内藤廣さん設計の牧野記念庭園へ。

私は大学院のころ、内藤さんの事務所にバイトで1年弱通っていました。ちょうど島根県芸術文化センターのコンペ提出のときでした。事務所あげてこのコンペに集中するなか、私は模型をつくりながら内藤さんの様子やスタッフの方々の仕事を見ていました。内藤さんは普段はスタッフの中でもチーフクラスの方と方針を打合せ、そのチーフから各スタッフへの指示が降りてくるようでした。そのコンペにも見事勝って、模型を仕上げた私は内藤さんの部屋に呼ばれ、模型の精度を褒めていただいたことを思い出します。まだ学生で実務を知らないながらも、内藤事務所の図面の緻密さは深く印象に残っています。

さて、この牧野記念庭園は植物学者牧野富太郎博士(1862-1957)の自宅があった庭園を一般公開しています。2010年に内藤さん設計により展示棟・事務所棟がリニューアル・オープンされました。庭園には、約300種類の草木類が植栽されています。その木々により建築の形態・高さが決定されたかのように、枝葉が建築の壁・屋根を包み込んでいます。博士の書斎だったシーンを蘇らせるように、建築は主張せず、庭園の植物が主役とされているようです。内藤さんのディテールは、屋根・庇・サッシ・建具らが部材部材が丁寧に折り合わせられたままに現れていて、創られたときまでも今に残すように息づいている。

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練馬区立牧野記念庭園

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例えば、展示室の間仕切壁の仕上げに貼られた和紙にまで、その息は込められいる。標本のように植物が和紙と一緒に綴じられています。調べるとこれは手漉き和紙作家、ロギール・アウテンボーガルト氏によるもの。楮の繊維が植物をクモの糸のように柔らかく包みこんですます。展示にある牧野富太郎の標本を見るようでした。

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練馬区立牧野記念庭園(内藤廣建築設計事務所)
http://www.makinoteien.jp/


原美術館の照明

日曜の午後、品川御殿山の原美術館へ
目に留まったのはこのユニバーサルダウンライト。
2008年の改修の際、照明家の豊久将三氏により製作されたもの。
天井の低い原美術館では、照射距離が近いため一般のギャラリー用照明では
ウォールウオッシャーとしては照射範囲が狭くなってしまう。
そこでこの光ファイバーによるダウンライトが開発されたとのこと。
小さくてカワイイ!?
鑑賞者は作品に集中して見ることができますね。

あと、原美術館のおすすめはカフェダールのイメージケーキ!
今回は蜷川実花展をイメージ。
行き着けのカフェに美術館が併設したような落着ける空間が好きです。


港区高輪子ども中高生プラザ

遠藤政樹さん設計の港区白金高輪駅すぐの港区高輪子ども中高生プラザへ行ってきました。
ちょうど2011年頃、白金高輪の駅近くで偶然遠藤さんに会い、「今近くで設計している物件の監理なんです。」と仰っていたのを思い出します。
遠藤さんの建築を見るのは事務所のある初台のアパートとナチュラルスラット以来です。
実は私、中村拓志さんの事務所に入る前、遠藤さんの事務所を希望して面接をお願いしたことがありました。そのときはスタッフ募集していないとのことでしたが、事務所で気さくに面談いただきました。

さて、この中高生プラザは乳幼児から中高生までの大型児童館です。
子育て広場、子ども図書館、キッチンスタジオなど多様な用途をRCの曲面壁で各々「ぐるっと」取り囲み、その周囲の余白が巡るように連続していきます。この大小のRCの曲面壁が絡み合い構造を形成しているようですが、スケールが細かく区切られているため、その構造は見た経験では分かりません。
ただ、この巡るようにつながり会う空間を歩いていると、様々なスケールの場を利用して子どもたちが思い思いに過ごすシーンが展開してくる。これらの多様なシーンがひとつの視覚に納まる場所はなく、ひとつのシーンが現れ、またその向こうにまた別のシーンが現れてきます。
その場をつなぐのは視覚より、子どもたちの声です。
これは一枚の写真では伝えられない、街の小さな路地を歩くような経験的な空間でした。


2014年度第8回「建築九州賞(作品賞)」 JIA特別賞 受賞

2014年度 第8回「建築九州賞(作品賞)」(日本建築学会九州支部主催)で鹿児島の住宅「SHIRASU」がJIA(日本建築家協会)特別賞を受賞しました。
JIA特別賞は、地域の建築について独自の視点や新しい意匠・技術の提案が評価された作品に授与されます。
夏には大分で二次審査のプレゼン、秋には現地審査、先週末の最終審査を経て受賞が決まりました。ご協力いただいたお施主さま・施工会社さま、そして現地審査に同席してサポートしてくれた乾事務所同僚の山田夫妻に、この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

■選考経過(第3次選考)

今年度は70作品(住宅部門27作品、一般建築部門43作品)の応募があり、
第1次選考通過の35作品が8月30日(土)に大分市で第2次選考会を行い、第3次選考対象作品の12作品(住宅部門5作品)を現地調査が実施され、作品視察及び応募者・クライアントへのヒアリングを行った上で選考基準に則って調査報告書を作成。
次に、平成27年1月24日(土)に最終選考会を開き、現地調査結果の報告・質疑応答を行った後に審議し、表彰作品として4作品(住宅部門作品賞1作品、一般建築部門作品賞2作品、JIA特別賞1作品)を決定した。
(※日本建築学会九州支部HPより)
http://news-sv.aij.or.jp/kyushu/sakuhinsho/14-sakuhin.html


東京都庭園美術館リニューアル

約3年間にわたる改修工事を経て、昨年11月末にリニューアルオープンされた目黒の東京都庭園美術館へ。
杉本博司による新館アプローチの波板ガラス(三保谷硝子製)
なめらかな凹凸に差し込む陽射しが生む影の表情が美しい!
時間帯によってその表情が変わっていくんですね!


『建築のこころ アーカイブにみる菊竹清訓展』            実践を通した理論の追求

近現代建築資料館で開催の『建築のこころ  アーカイブにみる菊竹清訓展』に行ってきました。
建築家菊竹清訓が学生時代のスケッチから晩年の構想に居たるまでの今までの未公開のメモやスケッチなどの大変貴重な資料が数多く展示されていました。
複写ではない当時の設計の現場(リアルタイム)の資料は、時間を越えて訴えかけてくる迫力があります。
その中でも上の写真「日本の木造建築の解体・組み立てについてのメモ(1990年代)」は菊竹さんの思考の形跡が読み取れるような原稿です。

「代謝建築論」の中にもある認識→仮説→実践→方法論の過程で生まれたとされるメタボリズムの思想について綴られています。
ただ、プロジェクトの図面と平行して書かれたこららの多数のメモやスケッチからは、決して理論が先にあって実践があるというのではなく、実践を通して理論や方法論が追求されていくのだということを教えられました。

建築のこころ アーカイブでみる菊竹清訓展
会 場:文化庁 国立近現代建築資料館  東京都文京区湯島4-6-14
会 期:2014.10.29(水)-2015.2.1(日)

□ 菊竹清訓
建築家。(1928-2011)
1960年代後期から70年代にかけ、独自のデザイン論である『代謝建築論 か・かた・かたち』を掲げ、黒川紀章らとともに建築と都市の新陳代謝、循環更新システムによる建築の創造を図ろうとするメタボリズムを提唱する。(Wikipediaより)


浅草観光文化センター

遅ればせながら、浅草観光文化センターへ。
観光地・浅草の「平屋性」(シンボル性?)は高いが、
正直、乾さんのコンペ2等案の方が良かったのではという感想は見る前と変わらなかった。
多くの商用看板が埋める街並みも含め浅草全体を家ととらえた提案は、
浅草界隈のさまざまなシーンが建築に浸透して見えてきたと思う。
以前、その理由を乾さんに話したとき、「私もそう思う!」と言いながら何やらメモをされていた。
それは、その後出版された「浅草のうち」に分かりやすくまとめられていた。
またいつかの機会にこのコンセプトが実現されることを期待します。

「浅草のうち」(乾久美子)
http://architecturephoto.net/26744/


NYのウェブマガジン『Leibal』に掲載

15.01.16
NYのウェブマガジン『Leibal』に鹿児島の住宅『SHIRASU』を紹介いただいています。
ぜひ、ご覧ください。
この作品がさまざまな場でご評価いただいているのは、デザインだけでなく、施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要不可欠であることを再認識しました。お施主さま、施工会社さまに感謝です。

About Leibal
Minimal is the new modern. We love minimal, functional, and space-saving designs.
Leibalは、建築、家具、プロダクト、インテリアなど、世界中の新しい情報をオンラインで発信するウェブマガジン(ニューヨーク)です。

Leibalの掲載記事はこちら → http://www.leibal.com/architecture/shirasu-house/
SHIRASUの作品紹介はこちら → http://www.asei.jp/works/works012.html