【鹿児島の住宅・O邸】エイジングする外観の魅力

鹿児島の住宅・O邸は、外壁左官工事が完了して外部足場が外れ、外観が見えるようになってきました。

外壁の左官は、特別に奄美の赤土を配合した左官で仕上げています。

当初よりお客さんの赤い土壁にしたいという要望に応えて、日本では赤土が少ないため鹿児島の奄美まで行き、土場を周って見つけた良質な赤土を使用しています。

温かみがあり、とても豊かな表情になっています。

これから経年変化で様々な表情に変わっていくエイジングの魅力をもつ外観です。

目前に拡がる桜島の風景に調和した建築になっていくのが楽しみです。

竣工まであと1ヶ月!

内装工事が至るところで進んでいます。

最後まで詰めて密度ある建築にしつつも、大らかな空気感を生む建築にしたいと思っています。

 


【鹿児島の住宅・O邸】内装工事

鹿児島の住宅・O邸は年内竣工を目指して、追い込みで工事が進んでいます。
街からもその勇敢な立ち姿が見えてきました。

外壁の左官、床暖房敷設などが完了し、様々な内装工事が同時進行しています。

シラスブロック造の壁の表情はとても豊かで寄り添いたくないような躯体です。

ここからが正念場です。

工務店さんと協力して頑張っています。

完成が楽しみになってきました。

 


【鹿児島の住宅・O邸】上棟式・お餅まき

昨日5月12日(土)の大安は鹿児島の住宅・O邸の上棟式でした。
2階屋上に上がり、上棟式を執り行いました。
敷地から一望できることもあり、桜島に向かって一同で礼をするのは鹿児島ならではです。

上棟式のあとにはお餅まきを開催しました。
近隣の方々が多く集まってくださり、大変盛り上がりました!

そのあとの直会でも工事に携わる各工事業者さんとのお施主さんとの交流もでき、これから内装工事に向けて皆さんが奮起していけそうです。


【鹿児島の住宅・O邸】2階RCスラブ・臥梁の配筋検査

先週は鹿児島の住宅・O邸の配筋検査でした。

1階のシラスブロックによる組積工事が完了し、その上に2階のコンクリートスラブと臥梁のための型枠・配筋工事の検査も無事問題なくクリアしました。

現在は電気・空調等の配管スリーブの設置が進み、今週末にはコンクリート打設工事の予定です。

各業者さんたちにとっても始めてのことが多く大変な現場ですが、時折、桜島の風景を眺めながら休憩されている様子は微笑ましいですね。


ステンドグラス照明~鹿児島の住宅の経過

先週末は、鹿児島の住宅のお施主様と見積図の打合せでした。

鹿児島の住宅は、昨年10月からスタートして、基本設計に9ヶ月、実施設計に3ヶ月とこの見積図ができるまで約1年の時間を要しました。シラスブロックを使用した組積造という構造は、現代の日本ではほとんど例がないため、確認申請機関を10社以上あたり、構造の協議を何度も重ねてきました。こちらの計画方針と一致する検査機関に一本化すると、次は組積造の基準に値するシラスブロックの強度が得られるのかを証明するために、圧縮試験、せん断試験、粒度試験など計4回の試験を公的機関や大学で行ってきました。そのデータもまとまり、9月は見積図の作成や目黒の住宅の概算図などで大忙しで、ブログの更新ができていませんでした。

その見積図が先週おおよそまとまり、お施主様と打合せを行ってきました。修正や追加などを踏まえて、図面を修正し、2週間後には施工会社への見積開始の予定です。

お施主様との打合せの前日には、お施主様と親しい友人でもある三坂基文さんとステンドグラスの打合せをしました。三坂さんは、鹿児島市でホワイトギャラリーというギャラリーのオーナーさんであり、ご自身もアーティストである方です。このホワイトギャラリーには鹿児島だけでなく、全国の作家の作品を毎月展示されていて、地域に愛され大変人気の高いギャラリーです。

その三坂さんに計画中の鹿児島の住宅に、ステンドグラスのペンダント照明を製作をお願いすることになりました。今回すでにサンプルを製作いただいたとのことで、サンプルを元にサイズ・ガラスの色・構成などを打合せました。冒頭の写真がそのサンプルです。このサンプルのようなイメージで、輪郭を定めず、ステンドグラスの集合が様々に展開していくような奥行きのある空間を持つオブジェになりそうです。このステンドグラスに日射が差し込むとその光を多方向に拡散させるような、光の増幅器のような効果を創り出してくれそうです。

ルイス・バラガンの家のように簡素で力強い空間に、鮮やかな色彩で空間の魅力を一層高めてくれそうで、出来上がりが楽しみです。

dsc_7255
ホワイトギャラリーにある三坂さん製作によるステンドグラス照明


石の触覚的な可能性~「石の美術館」を通して

米を貯蔵していた80年前の古い3棟の石造の蔵を再利用して、芦野石(安山岩)という地元の石を素材にした展示空間として再生されています。隈さんは「組積造を使って曖味で軽やかな空間ができないかという挑戦をしてみました。」と言われるように、芦野石を50mm×120mmに薄く切って、鉄骨を抱かせた石の柱に切り込みを入れ、石のルーバーをつくっています。その石のルーバーから光や風が抜け、保存された石蔵が向こうに見通せます。

DSC_4151

DSC_4161

DSC_4164

DSC_4167

また別の壁では、分厚い壁厚の無筋の組積造が透かし積みで穴を多く開けることで軽やかな印象になっています。石の目地の取り方も縦は石を突き付け、横目地のみの目地とすることで、目地によって石単体が強調されるのを避け、全体から見ると石のルーバーと同様に石の水平ボーダーが、石の軽やかさを引き立てるように軽やかなディテールが施されています。

DSC_4176

DSC_4174

DSC_4273

さらには、一部の壁には光が透ける薄い大理石(ビアンコカラーラ)をはめ込んで、室内がその石を透かした光で満たされるような状態にしています。

DSC_4186

これらのディテールは、とても重たい石という素材の印象を視覚的に軽やかな印象に変えることで、石という素材の新しい可能性が実現されています。また、3つの石蔵の中間スペースを新たな展示空間の増築や緑を植えた大地にするのではなく、水盤を張り、揺れる水面に石蔵を映し出そうとしたのも、この軽やかな印象をつくり出すための視覚的効果を狙ったことでしょう。
水盤を歩き回る秀逸な展示ルートの構成は、シークエンスの流れの中での建築体験を重視してのことのようです。
しかし、私が感じたのは各石蔵の展示空間が、冬でもとても寒いということ。実際に芦野石を触るととても冷たい。本来の石藏は、温度・湿度の変化が少ないことが、米倉としての機能を担っていたはずです。地元の芦野石を扱う石材会社の依頼による石の美術館であったため、残っていた石藏と同じ軽石凝灰岩の大谷石ではなく、芦野石はおのずと素材になったことだと思います。

調べると芦野石の熱伝導率は、1.5kcal/m・h・℃で、ほぼコンクリートと同等の値となっています。これに対して、シラスは0.3kcal/m・h・℃と木材とほぼ同等の値で、芦野石やコンクリートの約1/5です。表にある他の石と比べてもシラスが断熱性能のとても高い石だということが分かります。

名称未設定 1

視覚的に石という素材の可能性を追求された石の美術館に対して、私は、触覚的に、体感的に石という素材の可能性を追求したいと思っています。石の美術館は、文字通り美術館という機能があってのことですので、石を体で感じる必要には迫られません。しかし、住宅では視覚的にだけでなく、体感的にも快適な環境をつくる必要があります。そのため石という一般に熱伝導の高い石を住宅などの快適温度を保つ必要のある用途では使用しにくくなります。上の比較でも分かるように、シラスは他の石にはない高い断熱性能をもつため、石を温熱環境を調整する素材として利用が可能です。そこにこれまでにはない石という素材の新しい可能性や、素材を通した環境づくりの可能性があるのではないかと考え、研究と実践を続けています。


DSC_4262分厚い組積壁からのぞく

DSC_4154芦野石のドアノブは印象は素敵だが、冬はとても冷たく触れたくなくなる

DSC_4276同じ石でも高温で焼くと色が変わるのは面白い

石の美術館保存利用されている大谷石の石藏は比較的寒さは感じない


シラスコンクリート

アトリエ天工人・山下保博さんの大臣認定取得した環境型シラスコンクリート住宅のオープンハウスに行ってきました。

環境型シラスコンクリートの開発を知ったのは、2013年5月のTED×Sakurajimaでの山下さんのTEDトークでした。ちょうど鹿児島でSHIRASUの現場が進行中だった私は現場監理にあわせて、鹿児島大学で開催されたTEDに参加していました。「素材の声を聴く」と題されたトークの中で、この環境型シラスコンクリートの開発について一般の方にも分かりやすく説明され、聴衆から多くの感動を集めていたのを思い出します。

それから2年の実験・認定取得を経て、日本で始めてのシラスコンクリートによる住宅ができたというのです。実際に見るシラスコンクリートは、緻密でなめらかな表情をしていました。DSC_1593

DSC_1632

置かれた試験体を触るとやさしい肌触りで、普通コンクリートと比べ軽い。
(※写真左がシラスコンクリート)DSC_1645

シラスの微粒子を生かして高流動なコンクリートであるため、斜めに切り取られた開口部のコンクリートは、まさに切り取ったようにエッジが利いている。これは開口部とスラブとの隙間のような小さな開口部に象徴されている。DSC_1654

DSC_1641

コンクリートで内外を包み込んで欲しい、という施主の意向があったというが、そのため断熱材はなく、シラスコンクリートが仕上げとなっている。温熱環境を整えるために環境エンジニアの山田浩幸氏との共同で、4層吹き抜けの階段室の煙突効果を利用した上下階の熱を循環させるシステムは大変興味深かった。DSC_1621

アトリエ・天工人の3つの方法論の中の1つの「クライアントと共に創るアプローチ」の重要さについて、山下さんともお話させていただく中で、建築家として自律した立場から設計をするのではなく、改めて私も共に創る方法を意識的に設計しなければいけないと思いました。

今後の山下さんのシラスコンクリートの展開が楽しみです。